1 はじめに

債権回収では、すでに発生した未収金の回収は当然大切ですが、そもそも未収金を発生させないことも重要です。
今回のコラムでは、未収金トラブルの予防策について、ご説明させていただきます。
 

2 未収金トラブルの予防策

未収金トラブルを発生させないための対策としては、次のようなものが考えられます。

(1)顧客情報の把握

顧客との取引を開始する際に、顧客情報を把握しておくことが未収金トラブルの予防に繋がります。

①個人の顧客
取引申込書に顧客情報を記載させる、契約時の必要書類として提出されるといった方法により、顧客情報を把握することが考えられます。
免許証・健康保険証・住民票・印鑑登録証明書などにより、住所を把握しておけば、内容証明郵便を送付したり裁判を提起したりする際に利用できます。
勤務先の情報を把握しておけば、給与の差押えをする際などに利用できます。
預金口座の情報を把握しておけば、預金口座の差押えをする際などに利用できます。

②法人の顧客
取引開始時に申告させる、信用調査会社を利用するといった方法により、顧客情報を把握することが考えられます。
商業登記簿などにより、法人の本店所在地・代表者の住所を把握しておけば、内容証明郵便を送付したり裁判を提起したりする際に利用できます。
取引銀行・取引先の情報を把握しておけば、法人の資産状況を把握し、預金口座・売掛金債権の差押えをする際などに利用できます。
帳簿・決算書などにより、法人の資産状況を把握し、法人の資産の差押えをする際などに利用できます。

(2)契約書等の整備

取引にあたり契約書等を整備することは、未収金トラブルの予防策として有効です。
契約書以外にも、納品書・請求書など、取引の事実・内容を裏付ける資料も作成するようにしましょう。
契約書に次のような条項を盛り込むことにより、債権の回収・保全に役立ちます。

連帯保証人
保証金(一定期間分の取引額に相当する保証金を納付させる)
所有権留保(代金完済前の商品の所有権を売主に留保する)
期限の利益喪失条項(分割払いが滞納した場合などに一括払いを義務付ける)
不安の抗弁権(相手方の財産状況が悪化した場合などに、反対給付・担保供与があるまで先履行を拒否できるようにする)
契約の解除(契約違反、財産状況の悪化などを理由とする契約解除を可能とする)
相殺(債権・債務の相殺処理を可能とする)
情報の提供(貸借対照表・損益計算書などの書類提出を要求できるものとする)

(3)担保・保証

顧客に連帯保証人を立てさせれば、顧客が支払を怠ったときに、連帯保証人に対する請求が可能となります。

また、顧客所有の不動産に抵当権を設定するなど、担保をとっておけば、顧客が支払を怠ったときに、競売にかけるなどの対応が可能となります。

(4)弁護士との連携

契約書等の整備については、法律の専門家である弁護士のサポートを受けるのがよいでしょう。
弁護士にご相談・ご依頼いただけば、取引の背景・実情をもとに、未収金トラブルをはじめ、様々なリスクを想定した契約書を作成することが可能となります。

また、顧客情報の把握や担保・保証についても、契約書等の整備や弁護士による事後的な債権回収とも連動するものです。
一連の債権回収・未収金トラブルの予防策として、弁護士と連携しながら構築・運用していくことをお勧めいたします。

弁護士にご相談ください

青森シティ法律事務所の弁護士は、これまでに、地域の企業様から債権回収・未収金に関するご相談・ご依頼を多数お受けし、解決実績も豊富にございます。
債権回収・未収金のことでお悩みの企業様がいらっしゃいましたら、青森シティ法律事務所にご相談いただければと存じます。

(弁護士・木村哲也)

当事務所の弁護士が書いたコラムです。

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