青森シティ法律事務所では、交通事故の被害に関するご相談・ご依頼を承っております。
脊髄損傷は、交通事故による傷害の中でも、特に重篤なもののひとつです。
今回のコラムでは、交通事故による脊髄損傷について、ご説明させていただきます。
1 脊髄損傷とは
人間の脊柱(背骨)の中には、脊髄という神経が通っています。
交通事故により脊柱に強度の衝撃を受けた場合、脊柱の中にある脊髄を損傷することがあります。
これを脊髄損傷と言います。
脊髄は、頭から下に向かって順番に、頚髄、胸髄、腰髄、仙髄に区分されます。
そして、それぞれの部位に損傷が生じた場合の主な症状は、次のとおりです。
損傷部位
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主な症状
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上部頚髄 | 呼吸筋の麻痺、四肢麻痺 |
下部頚髄 | 四肢麻痺 |
上部胸髄 | 体幹の麻痺、下肢の麻痺 |
下部胸髄 | 下肢の麻痺 |
腰髄 | 下肢の麻痺 |
仙髄 | 膀胱・腸の制御機能の麻痺 |
交通事故では、頚髄に損傷を受けることが多いです。
2 脊髄損傷による後遺障害
脊髄損傷では、症状の程度により、別表第1(介護を要する後遺障害)の1級1号、2級2号、別表第2(介護不要)の3級3号、5級2号、7級4号、9級10号、12級13号の7つの後遺障害等級が定められています。
【麻痺の範囲に関する区分】
区分
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麻痺の範囲
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四肢麻痺 | 両側の上肢と下肢の麻痺 |
片麻痺 | 片方の上肢と下肢の麻痺 |
対麻痺 | 両側の上肢または両側の下肢の麻痺 |
単麻痺 | 上肢または下肢の一肢の麻痺 |
【麻痺の程度に関する区分】
区分
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麻痺の程度
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上肢における参考例
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下肢における参考例
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高度 | 障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないもの | 完全硬直又はこれに近い状態にあるもの | |
・三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの ・随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動することができないもの |
・三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの ・随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの |
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中等度 | 障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるもの | 障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの | 障害を残した一下肢を有するため杖若しくは硬性器具なしには階段を上ることができないもの又は障害両下肢を有するため杖若しくは硬性器具なしには歩行が困難であること |
軽度 | 障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているもの | 障害を残した一上肢では文字を書くことに困難が伴うもの | 日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性器具なしに階段を上ることができないもの |
【後遺障害等級の認定基準】
別表第1
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等級 | 内容 |
1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの ・高度の四肢麻痺が認められるもの ・高度の対麻痺が認められるもの ・中程度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣について常時介護を要するもの ・中程度の対麻痺であって、常時介護を要するもの |
2級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの ・中程度の四肢麻痺が認められるもの ・軽度の四肢麻痺であって、随時介護を要するもの ・中程度の対麻痺であって、随時介護を要するもの |
別表第2
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等級 | 内容 |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの ・軽度の四肢麻痺が認められるもの ・中程度の対麻痺が認められるもの |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの ・軽度の対麻痺が認めるもの ・一下肢に高度の単麻痺が認められるもの |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの ・一下肢に中程度の単麻痺が認められるもの |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの ・一下肢に軽度の単麻痺が認められるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの ・運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの ・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの |
胸腹部臓器の障害(尿路障害など)、脊柱の変形障害・運動障害などが認められる場合でも、併合の取り扱いは行われず、麻痺の範囲と程度により判断される脊髄損傷の後遺障害等級により認定されるのが原則です。
ただし、胸腹部臓器の障害、脊柱の変形障害・運動障害などによる後遺障害等級が、脊髄損傷の後遺障害等級よりも重い場合には、それらの障害の総合評価により後遺障害等級が認定されます。
3 弁護士にご相談ください
青森シティ法律事務所の弁護士は、これまでに、交通事故のご相談・ご依頼を数多くお受けし、解決実績も豊富にございます。
脊髄損傷の事案についても、後遺障害等級の認定、損害賠償の請求など、取扱実績が多数ございますので、お気軽に青森シティ法律事務所にご相談いただければと存じます。
(弁護士・木村哲也)
当事務所の弁護士が書いたコラムです。
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