青森シティ法律事務所では、離婚に関するご相談・ご依頼を多数お受けしております。
離婚をする夫婦に未成年の子どもがいる場合には、親権・養育費・面会交流という子どもの問題を解決しなければなりません。
これらの離婚の問題をめぐって夫婦が対立し、深刻な紛争状態となってしまうことも少なくありません。
今回のコラムでは、離婚と子どもの問題として、親権・養育費・面会交流についてご説明させていただきます。
1 親権
親権とは、未成年の子どもを養育・監護する権利および義務のことを言います。
離婚をする夫婦に子どもがいるのであれば、離婚の際に必ず子どもの親権者を夫婦のどちらにするかを決める必要があります。
先に離婚だけをしてしまって、子どもの親権者は後で決めるという取り扱いは、法律上、認められていません。
この点、夫婦のどちらを親権者とするかについて、夫婦間で争いとなることがあります。
親権が争いとなった場合には、家庭裁判所での調停(離婚調停)や裁判(離婚訴訟)で、子どもの親権者を決めることとなるのが通常です。
家庭裁判所が子どもの親権者を決める際には、夫婦のどちらが親権者となることが子どもの利益・幸福に適するかという観点から判断されます。
具体的には、①父親・母親のうち、これまでに主に子どもの養育を担ってきた方を優先させる、②父親・母親のうち、生活環境が子どもの養育にとって適している方を優先させる、③子どもが複数いる場合には、兄弟姉妹をできる限り分離しないようにする、④子どもが小さい場合には、母親を優先させる、⑤子どもがおおむね中学生以上であれば、子どもの意思を尊重する、などの様々な要素から判断されることとなります。
2 養育費
養育費とは、子どもの養育・監護のために必要な費用のことを言います。
子どもの親権者とならなかった方の親は、原則として、子どもの親権者となった方の親に対し、養育費を支払う必要があります。
養育費の金額は、権利者(養育費の支払を受ける側)と義務者(養育費の支払をする側)のお互いの年収額、子どもの人数・年齢などをもとに算定されます。
裁判所のホームページでは、養育費の金額の標準額が記載された「養育費の算定表」が公開されています。
「養育費 算定表」でインターネット検索していただければ、容易に発見することができると思います。
養育費の取り決めは、離婚をする際に話し合って決めるのが基本です。
離婚をする際に養育費の取り決めをしなかった場合であっても、離婚後に話し合って取り決めることができますし、離婚後の話し合いで合意に至らないときは、家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立てることとなるでしょう。
また、養育費の取り決めについて公正証書を作成し、あるいは、調停や裁判で養育費の取り決めをした場合には、養育費の支払が滞ったときに、相手方の給料や預貯金を差し押さえることができます。
3 面会交流
面会交流とは、子どもと離れて暮らす親が、子どもと定期的に会って一緒に過ごしたり、連絡(電話、郵便、メール、写真・プレゼントの受け渡しなど)を取ったりして交流することを言います。
一般的には、面会交流と言えば、子どもと会うことを指すのが通常でしょう。
このような面会交流は、子どもが両親からの愛情を受けながら健全に成長していくために有益なものであると、一般的には考えられています。
そのため、子どもと同居する親は、面会交流を求められた場合には、「特段の事情」がなければ、拒否できないのが原則です。
「特段の事情」というのは、子どもと離れて暮らす親から子どもへの虐待の事実があり、子どもが面会交流を嫌がっているなどの特殊な事情のことです。
親同士の確執が深いなどの理由だけでは、面会交流を拒否する正当な理由とはなりませんし、子どもが面会交流を嫌がっているわけでもないのに、そのような嘘をでっち上げて面会交流を回避しようとしても、面会交流の調停において家庭裁判所を欺くことはできないでしょう。
面会交流の条件(回数・時間など)は、親同士の話し合いで決めるのが基本ですが、話し合いでの合意ができないときは、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てることとなるでしょう。
面会交流の頻度については、子どもの年齢・生活状況、父・母それぞれの生活状況などにもよりますが、あまりに高頻度に子どもと会うとなると、親子ともに大きな負担となってしまうので、月に1回ないし2回程度と定めるケースが多いように見受けられます。
なお、面会交流の権利は、離婚後だけではなく、離婚前の別居中でも認められます。
弁護士にご相談ください
離婚と子どもの問題についてお困りの方がいらっしゃいましたら、青森シティ法律事務所にご相談ください。
青森シティ法律事務所の弁護士は、離婚と子どもの問題に関する対応経験が豊富であり、親権・養育費・面会交流に関する解決実績も多数ございます。
ぜひ一度、お気軽に青森シティ法律事務所にご相談ください。
(弁護士・木村哲也)
当事務所の弁護士が書いたコラムです。
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